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泉美木蘭
2019.5.18 23:59日々の出来事

今日のつれづれ日記

今日の日記。

その一
写真家の森山大道さんが、私の父の生まれ故郷である、
島根県のものすごく小さくてマイナーな村の写真集を
出していて、非常に驚いた。
1987年の夏撮影、まさに私が遊びに行っていた時期のもので、
思いっきり父の実家や、寺の外壁が映り込んでいるし、
近所の人しか歩かない裏道から、海辺までの道などが

あのモノクロの世界観で作品化されていて超仰天した。

1987年は、夏休みの自由研究のために、父と一緒に島根県と
三重県の海辺~川辺の砂を拾って、顕微鏡で観察した年なんだ
けど、その砂を拾った場所まで写真になっていて、
見ていたら泣けてきた。

島根県のその村は、大昔にタタラ製鉄をやっていて、鉄を川で
運んでいた地域だから、海辺も川辺も砂鉄が混じっているという
特徴があったんだよ。
それが、ヤマタノオロチ伝説の赤い血の川のイメージと連結して
私の頭のなかにずっとあった。ヤマタノオロチの尻尾から、
草薙剣が出て来たというのは、製鉄の風景から生まれた物語なの
だろうと私は思ってる。

森山大道って大阪の人だと思っていたけど、
どうやらお父様はその村に生まれ育った方で、
自身も子供時代はそこで過ごしていたらしい。
写真から、森山家と泉家はお墓まで同じ敷地とわかった。
これ、一年早く入手してたら、父に見せられたのになあ。
ものすごく感激しただろうに。
父は押し入れを暗室にするぐらい写真が好きだった

その二
1961年にほんの一瞬公開されたきりだったフランスの映画
「金色の眼の女」がDVDで復刻されたということで、見た。
そんな大昔のモノクロ映画を観てもどうかなあと思ったけど、
あまりに美しすぎて仰天してしまった。
主役のマリー・ラフォレの旦那が撮ってる映画だから、
とにかくマリー・ラフォレを美しく魅せるための作品に
なってるようなんだけど、どのシーンも完璧なまでに美を
追究してて、バチッと構図が決まってるから、
早送り、コマ送りしても、偶然画面に出たシーンがすべて
そのまま絵になっているという徹底ぶりだった。
自分は耽美主義の映画がけっこう好きなんだなとわかった。
マリー・ラフォレは、「太陽がいっぱい」でアラン・ドロン
相手役をしてた女性だ。憂鬱で不機嫌な役が合ってた。

その三
カラー写真の草分け的な写真家、ソール・ライターという人の
作品に、白い雪道を、赤い傘を差した人が歩くすごく有名な
一枚があるんだけど、

私はずっとあの一枚は、「シェルブールの雨傘」の冒頭のシーン
から影響を受けたんだろうと思い込んでいた。
そしたら、今日になって、ライターの写真がなんと1950年撮影で、
「シェルブール」より15年も早かったとはじめて気が付いた。
どんだけセンスがよかったんだろ。

過去のことでいろいろ仰天した一日だった。
いまは門下生チャンネルの「ドキドキ男女論!」を聞いてる。
おもしろい。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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